欧州宇宙機関育成プログラムのスボシュ・ウズナンスキ宇宙飛行士とのインタービー

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欧州宇宙機関育成プログラムのスボシュ・ウズナンスキ宇宙飛行士とのインタービー

欧州宇宙機関育成プログラムのスボシュ・ウズナンスキ宇宙飛行士とのインタービー

Aleksandra Czubak (A.C.): スワボシュさん、インタビューに感謝します!

私は、あなたが準備している宇宙への出発前に行われる訓練プログラムの為の日本出張について質問します。

日本宇宙航空研究開発機構(JAXA)は、欧州宇宙機関(ESA)及びアメリカ航空宇宙局(NASA)にとって国際宇宙ステーション(ISS)計画やその他の宇宙探査に関わる事業において大変重要なパートナーです。

日本の実験モジュール「きぼう」は、ISS最大のモジュールであり、ステーションに飛び立つ宇宙飛行士たちは船内実験室での活動に精通する事となります。

日本のJAXAでのあなたの訓練は、どの位の期間行われますか。

スワボシュ・ウズナインスキー宇宙飛行士 (S.U.): 私の知っている限りでは、ESA最初の宇宙飛行士Marcus Wantdは、(彼のISSにおけるミッションAxiom 3は最近終了しました。)日本での1モジュール訓練でした。

私の場合も同じようなものになると思われます。この訓練モジュールは1週間続きます。

これはまだ一度も行ったことのない日本で熟練するにはとても短い期間です。観光の為に、あと1週間長く居られるかもしれません。

(A.C.): 日本への旅の計画については、この後のインタビューでお伺いします。

1週間の訓練は集中したものになるでしょうね・・・。

(S.U.): 私たちが経験する宇宙への旅の訓練はとても厳しいものです。ミッション前の主な訓練が行われるアメリカでは、合衆国と日本間の2回のフライトを経験しなければなりません。

これはまさにご存じの通りの強い「ジェットラグ(時差ぼけ)」との戦いです。

(A.C.): このような訓練は実践ではどのように行われますか?それぞれのエージェントで行われる訓練に違いはありますか。

(S.U.): ヨーロッパ以外の訓練は、日本でも、NASAやスペースエックスでもまだ受けていません。

その代わり、最初のとても厳しい訓練の日々を過ごしました。

訓練は朝9時から18時までで、厳しい教育訓練は9~10時間続きます。

(A.C.): 日本では宇宙探査に対する科学的、産業的、文化的、さらにはポップカルチャーへの関心が高いです。これらのトピックはあなたのおかげもあり、ポーランドでますます人気が高まっています。日本での研修に参加し、仕事を通じてJAXAとの関係を強化するという事実は、宇宙面でのポーランドへの関心に影響を与える可能性があると思いますか。

(S.U.): そうだといいと思っています。欧州宇宙機関の宇宙飛行士団に私たちが参加することで、日本を含む他国でポーランドについての話題がさらに広がり、これにより私たちの国際的な露出が向上します。宇宙の話題を通じてポーランドの国際的なイメージを構築することは非常に重要であり、それは国際市場でのポーランドの産業の発展を支援する非常に効果的な方法となり得ます。ポーランドの宇宙部門の重要性は現在急速に高まっています。ポーランドの企業はこの分野で力強い進歩を遂げ、大きな可能性を秘めており、国際的なパートナーと協力して、宇宙分野でのポーランドの技術をさらに強めることを期待しています。

(A.C.): 新技術の話題に移りますが、学界からのポーランドのスタートアップ企業がますます増えており、宇宙分野で興味深い技術ソリューションを生み出し、日本市場への参入しつつあります。ポーランドの科学と技術分野に、日本人が多くの興味を持つチャンスがあると思いますか。

(S.U.): この技術分野は世界的な側面を持っている点で非常に興味深いと思いますが、その中でも特に宇宙技術には世界的な面があります。たとえば、地球の低軌道に衛星を配置することで、地球の100%を画像でカバーすることができ、即座に世界規模、世界市場、そして商業的に言えば顧客へのアクセスを獲得することができます。つまり、地球観測衛星とそのおかげで得られたデータ、たとえばコペルニクス計画から得たデータを使用して、ある地域におけるポーランドの農業を改善すると、開発が進み、実証済みの技術が得られ、実際にさらなる成果をもたらすことになるということです。農家にとって価値があるということです。

来年には、宇宙技術が地球全体をカバーし、世界的な広がりを持ち、南米のブラジル、あるいは日本やその他のアジア諸国にまで拡大することができるのです。

ここで、このスケールの大きさは、特に経済的に非常に重要です。

宇宙技術を生み出すとき、この技術がどれだけ変化するか、どれだけの価値を生み出すことができるかを示す、この最初の段階を通過することは困難です。しかし、この最初の段階が終わると、このスケールの大きさはすぐにグローバル化され、これはビジネスの観点から見て非常に興味深いものになります。

地球観測に関しては、ポーランドは間違いなく重要なプレーヤーになり得ると思います。データとそれに基づく分析を国内の民間部門と公共部門に提供するだけでなく、例えば日本市場を含む国際市場にも参入できるということです。

(A.C.): 日本を科学、技術、宇宙産業の観点から見て、あなたにとって最もインスピレーションを与えた成果は何ですか。

(S.U.): 元々日本は宇宙技術の分野も含め、さまざまな種類の技術的成果に関して、特に国際宇宙ステーションを見ると、信じられないほど刺激的な国だと思います。日本は、米国とNASA、欧州とESA、ロシアとロスコスモス、日本のJAXA、カナダ宇宙庁CSAを含む国際パートナーの1つです。日本はこのグループにとって非常に重要なパートナーです。

私たちヨーロッパとESAは、ISSの8.3%と、科学と産業の両方にとって非常に重要なさまざまな実験を船上で実施するためのステーション滞在時間を所有しています。日本は12%を超えており、欧州宇宙機関よりも日本のシェアがはるかに大きいということになります。

日本は、ISSに「日本のきぼう実験モジュール」という非常に大規模な実験室があり、これには物流モジュール(さまざまなタイプの実験を保管できる2番目のモジュール)も含まれています。日本には、直接宇宙空間で直接実験を行うための外部プラットフォームもあります。これらは 3つの大きくて非常に重要なモジュールです。しかし、私たちヨーロッパには、コロンブスという研究所が1つあり、興味深いことに、ステーションの構造では、文字通り日本の研究所の向かい側に位置しています。また、コロンブスで実験を行っている間、私たちは日本人の同僚たちが向かい合って実験を行っているのを目にすることができます。

日本には、こうのとり(日本語で「コウノトリ」を意味する)と名付けられたHTV船という、ステーションに貨物を送るための独自の技術力もあります。ISSの開発・運用に対する日本の影響力も大変大きいです。

(A.C.): プライベートで日本に数日間滞在できるとしたら、そこで何をしたり、何を見てみたいですか。あなたにとって体を動かすことが大切だと思いますが、スポーツにチャレンジしてみるのはどうでしょうか。

(S.U.): はい、これは私にとって非常に興味深いトピックです。私もかつて何度か日本に行く機会がありました。私は韓国での学会に出席しており、その機会に日本に行くのはごく自然な流れだったのですが、当時はまだその準備ができていなかったように思います。旅行するとき、私は他の人々と交流したり、彼らの生き方や文化を知る機会が好きですが、私が誰であるかを表現することも自分にとって重要です。だから私はいつも日本を少し怖がっていました。コミュニケーションの観点から見ると、日本はこのタイプの旅行体験にとって最も簡単な方向ではないようです。その旅行中、私は東南アジアを中心に旅行することに決めました。今では、日本を見る機会がなかったので、この選択を少し後悔しています。スキーは私の大きな情熱であり、かつて日本でスキーツアーに参加する機会もあったのですが、これもまた失敗しました。行きたい気持ちはやまやまですし、新雪の質やスキー場の面でも、日本が素晴らしい目的地であることは分かっています。訓練がいつ行われるかは分かりませんが、もし冬だとしたら、間違いなくスキーに行くつもりです。そして、春か夏にそこに行ったら、桜を見たり、できるだけ多くの場所を見て旅行したいと思っています。

(A.C.): 宇宙と地上の両方で、できるだけ多くの日本の経験ができることを願っています。インタビューに感謝します。


インタビューは、スワボシュ・ウズナインスキーが発起したISSコンテストの最終ガライベント「方向:宇宙」(http://www.direction.space)およびスペースウィーク-ヨーロッパの科学都市カトヴィツェ2024(http://www.miastonauki.pl)のプログラムの一環として、ニュースペース財団との共同で開催されました。

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